庇(ひさし)は、玄関や窓の上部に取り付けられている小さな屋根のことです。
雨風や直射日光から建物を守り、外壁や室内の傷みを防ぐ大切な役割を担っています。また、降雨時の雨垂れによる壁面汚れも防ぎやすくなるため、建物の美観を保つ上でも重要な存在です。
その他にも、庇があることで雨天で玄関扉の開閉する際に濡れにくかったり、窓を開けて換気しやすいといった生活環境の向上にも繋がります。
塗膜の剥がれや錆は、紫外線や雨風などによる経年劣化で発生します。進行すると腐食や穴あきに原因となってしまうため、注意が必要です。
塗膜劣化の初期症状として、色褪せや塗膜の浮きなどが挙げられますので、状況が悪化する前に早めに塗り替えを行うことが大切です。
塗膜の劣化や錆の発生などが進むと、雨水の浸入や経年劣化によって庇自体が腐食していきます。特に木製庇の場合は、湿気や雨水の影響で反りなどを起こしやすく、内部まで水分が染み込むと腐朽が急速に進む可能性もあります。
塗装によるメンテナンスをしっかり行い、もし庇の割れや変形などを発見した際は、専門業者に状態を詳しく調べてもらうようにしましょう。
庇は外壁や支柱などと接合されているため、その固定箇所が緩んだり、金具がサビてがたついてしまうケースがあります。
また、庇と外壁の接合部に施されているシーリングは、紫外線や雨風によって劣化し、剥がれや割れなどを引き起こします。
接合部ががたつくと強風時に庇が動いてら落下してしまったり、シーリングの劣化箇所から雨水が浸入する恐れがあるため、異常を見つけた際は早急なメンテナンスが必要です。
軽度な錆や塗膜の剥がれ・色褪せなどは塗装によるメンテナンスを行います。
塗装の際は、古い塗膜や汚れなどを綺麗に洗い流すことが重要です。また、錆が発生している場合は、錆もしっかりと除去してから塗装を進めていきます。
塗装にかかる費用は、3万円~5万円程度が相場です。ただし、別途足場代がかかる場合もあります。
庇の劣化が進行している場合でも、下地が比較的良い状態であればカバー工法が可能です。
カバー工法とは、既存の庇の上から新しい庇を作る修理方法のことです。既存の庇を撤去する必要がないため、工事に要する時間や撤去費用などを抑えらるメリットがあります。
庇のカバー工法にかかる費用は、施工範囲や形状などによっても変動しますが、6万円~15万円程度が相場となります。
下地の劣化も進行しており、カバー工法で対応できない場合は、庇自体を新しいものに交換する必要があります。
交換の際は防水シートと庇を一新できるため、防水性や耐久性を復活させることが可能です。また、デザインの変更もできるため、外観も向上させられるメリットがあります。
庇の交換にかかる費用は15万円~40万円程度が相場です。
木製の庇は、自然素材ならではの温かみがあり、和風建築にもよく合う素材です。加工がしやすいのでデザインの自由度も高いメリットがあります。
デメリットは、雨水や紫外線の影響により腐食や反りが起きやすく、定期的に塗装や防腐処理が必要な点です。
■メンテナンス方法
木製の庇の場合は、5年に1度を目安に木部専用の防腐塗料やニスを塗装して、雨水が浸入するを防ぐのが望ましいです。
また、ひび割れが発生している際は、パテなどで亀裂を埋めて補修します。
金属製の庇は耐久性が高く、木製よりも腐食リスクが低いメリットがあります。さらに、カラーバリエーションも豊富なので、建物の外観にマッチした庇を作ることができます。
ただし、金属製の中でもガルバリウム鋼板やトタンなど種類は様々で、素材によっては耐久性や耐候性に差があります。そのため、素材の特徴を理解しておくことが大切です。
また、金属は錆が発生しやすく、塩害地域などでは錆や腐食の進行が早まる可能性がある点がデメリットとして挙げられます。
■メンテナンス方法
塗装が剥がれている箇所はサビが発生しやすく、錆は庇の劣化進行を早めるため、定期的な錆の除去と塗装が必要です。
塗装の際は綺麗に錆を落と、錆止め塗料と上塗りを行います。錆が残ったまま塗装をすると、すぐに錆が再発してしまいます。
アルミは軽量で錆が発生しにくく、比較的メンテナンスがラクというメリットがあります。スッキリとした印象になるため、あらゆる外観に合わせて取り付けることが可能です。
デメリットは、傷がつくと目立ちやすい点や木製のような温かみが少ないため、和風建築には向いていないケースがある点です。
■メンテナンス方法
アルミは基本的に塗装が不要ですが、汚れが目立つ場合は水拭きや中性洗剤での洗浄が必要となります。
もし目立つ傷があれば、塗装などで部分的な補修を行います。
ステンレスは錆びにくく、高耐久というメリットがあります。長期的にメンテナンスをしなくても良い状態を保ちやすく、清潔感のある外観を演出することが可能です。
ただ、性能に優れている分価格は高くなります。また、色味やデザインの選択肢が少ない点もデメリットと言えるでしょう。
■メンテナンス方法
ステンレスは油汚れや水アカが付着しやすいため、こまめに水拭きやステンレス専用クリーナーで洗浄すると綺麗な状態を維持できます。
ステンレスは錆びにくい素材ではありますが、周囲の金属が錆びていると、もらい錆を引き起こす可能性があります。気になる場合は、メラミンスポンジなどで優しくこすって除去するといいでしょう。
ポリカーボネートは透明または半透明の素材が多く、採光性が高いのが特徴です。カラーバリエーションが豊富で、軽量のため設置もしやすく、費用も安価というメリットがあります。
ただし、熱や紫外線に弱いタイプもあるため注意が必要です。さらに傷や汚れが目立ちやすく、経年劣化で変色する場合があるといったデメリットもあります。
■メンテナンス方法
ホコリや鳥のフンなどを放置すると変色や劣化の原因になるため、定期的に水洗いをして汚れを落とすことが大切です。
もし変色や割れなどが気になる場合は、新しいものに交換するのがいいでしょう。
普段から庇の劣化を気にかけている方は少ないかと思いますが、雨垂れによる汚れを防止したり、日差しを遮るなど建物や私たちの生活にとって大切な役割を担っています。
庇も外壁や屋根と同じく、経年劣化によって錆の発生や腐食などを引き起こすため、定期的な点検・メンテナンスが必要となります。
さくらペイントは庇修理の実績も豊富ですので、劣化具合や素材に合わせて適切な修理方法をご提案することが可能です。